提灯 ledの魅力に迫る

物理的、社会的、経済的条件のすべてにわたって福祉水準を向上させることこそ、その全体目標だ」とルーズベルトの夢を引き継いだ。
残る二人の理事は、テネシー大学学長で六六歳の農業科学者のハーコート・モーガン、および、ハーヴァード法律大学院出身でウィスコンシン電力委員会委員長を努めていた弱冠三四歳のデイヴィッド・リリエンソールと決まった。 ハーコート・モーガンは肥料生産部門を担当し、リリエンソールは電力政策、アーサー・モーガンはダム建設と教育、農村生活、社会・経済計画の全体を所管することとなった。
理想と希望に燃えて、貧困にさいなまれた広大な地域の社会開発という前人未到の大実験が始まったのだった。 しかし、新しい事業の前途は多難だった。
やがて、三人の理事の基本的な考え方の対立が明らかとなった。 アーサー・モーガンは理想主義的計画を上から実行しようとしたが、入−コート・モーガンとリリエンソールは、目的の達成のためには地域の協力が不可欠と考えた。
二人はそれを「草の根民主主義」と名付けた。 リリエンソールは、TVAに権限は集中すれども、実行と管理は非集中化されなければならないと考えた。
「草の根民主主義」とは、単に、決定権をワシントンから地方へ委譲するだけでなく、地域の団体や委員会を積極的に計画のパートナーとして参加させることを意味していた。 強制ではなく、説得と、激励と、誘因と、契約による方法をリリエンソールは強調した。
社会計画派対プランダイジァン(ハーヴァードの教授から最高裁判事になり、ルーズベルトの二ユーディールを支持したルイス・プランダイスの考え、すなわち、特定の哲学などではなく十分啓蒙された人々の行為にこそ真の価値があるとするリベラル派)の抗争は、他のニューディール政策のいたるところで見られたが、TVAもその例外ではなかった。 それでも、TVAは生き延びた。
発電と送電事業は民間部門への官業による侵略だという主張は、TVAにとって電力事業は洪水制御の副産物に過ぎないとして却下された。 TVAは発電、森林の再生、土壌回復、農業方法の改善、学校の建設、レクリエーション施設の整備、と広範な事業を展開した。

しかし結局TVAは、ルーズベルトやアーサー・モーガンが夢みたような革命的地域開発事業としては成功しなかった。 リリエンソールの草の根民主主義も、余りに多くの場合、地域エゴや利益グループを増長させ、それらとの無原則な妥協に陥った。
それにもかかわらず、二ユーディールといえば今日でも多くの人が心にTVAを思い浮かべる。 それは、高さ一四○メートルのフォンタナ・ダムの威容とともに、社会開発計画にかけたルーズベルトの真筆なヒューマニズムと、哲学を異にしながら新事業に逼進した二人の大学学長と、弁護士としての高収入を捨てて社会開発に夢を賭けた若い法律専門家の献身が、アメリカ人の心に言い知れぬ感動を呼び起こすからであろう。
そして今日でもTVAは、統合水量制御システムに組み込まれた四○基の発電ダムと一○基の非発電ダムを擁し、二三○○万キロワット以上の発電能力をもって活動している。 (しかし、今日TVAの発電能力に占める水力発電の比率は二割に満たず、原子力発電とほぼ同じで、最大の発電能力は石炭火力に移っているハロルド・イッキーズが内務長官に選ばれたのは、ルーズベルトが共和党進歩剛W榊娯派からの入閣を一人強く希望したからだ。
内務長官は願ってもないポストだった。 イッキーズの目には、内務省の所管する異質な事業を縫って流れる共通の目標が鮮やかに見えていた。
「われわれの主要な関心事は、人間生活の擁護と拡大、それに天然資源の保全である」。 イッキーズは、また、ティーポット・ドーム汚職事ハロルド・イッキーズものお金を恒久的改善のために使うことができます。
そのような支出によって、われわれは不況から救われるのみならず、人々の健康や福祉や繁栄のために多くのことを成すことができます。 市に適切な上下水道を提供することは、お金の無駄遣いだと私は思いません。
そして、人々をより健康で幸せな人間にするように遣われるお金は、社会的に良い投資であるだけでなく、厳密に金融的視点からみても健全な投資であります。 健全な肉体件以来地に墜ちた内務省の尊厳を回復することを第一の目標とした。
じっさい、その目的のためには、「正直ハロルド」とあだ名されるようになるイッキーズほど適任な人間はいなかった。 やがて七月、イッキーズはルーズベルトに、NIRAの第二部に従って創設された公共事業局(PWA)の長官を兼務することを命ぜられる。

三三億ドルという莫大な公共事業予算を預かったイッキーズは、事業の開始に当たって二つの目標を立てた。 第一は、大規模公共事業につきまとう汚職や腐敗を絶対に出さないということである。
そして第二には、拙速を避け、真に美的価値の高い堅牢な公共建造物を子孫のために残すということである。 イッキーズは公共事業の意味をこう語った。
「合衆国においては何百万ドルのにやどる健全でよく鍛錬された精神は、純粋に貨幣価値で計ったとしても、現在私が考えつくいかなるものよりもわが国の現実の繁栄に寄与するところが大でありましょう」。 イッキーズは事業案件の申し込み書のすべてに目を通した。
公共事業には黒人や少数民族出身者が必ず一雇用されるように気を配った。 それに、公共事業は本来前もっての計画、細目の決定、現地調査、設計、見積など、時間のかかるものである。
フーヴァー時代に何も備えのなかったところから始めたイッキーズのPWAは、ほとんどゼロからスタートしなければならなかった。 そのため、PWAの予算の執行は遅々として進まなかったが、そのことをイッキーズはハリー・ホプキンズと違ってほとんど意に介さず、ルーズベルト自身も必ずしも緊急的執行を督励した様子もない。
ここでも再び、イッキーズのPWAは不況対策としては十分な効果を上げたとは言えなかった。 それでも、PWAは航空母艦ヨークタウンとエンタープライズ、道路や高速道路、上下水道、ゴミ処理施設、ガス・プラント、発電所、学校、裁判所、病院、監獄、ダム、運河、潅概事業、洪水制御、橋、港、トンネルなどを建設した。
一九三三年から三九年までに全国で新しく建設された学校の七○%、裁判所や市役所やゴミ処理プラントの六五%、病院や公共保健施設の三五%、道路、橋、地下鉄、その他同様な建造物の一○%はPWAの援助でできたものだった。 (サンフランシスコのゴールデン・ゲート・ブリッジは三三年に着工され三七年に完成した。
)六○億ドルを遣ったPWAには、イッキーズの望んだとおり、ただの一件の不正も発生しなかった。 そして、アメリカはイッキーズが望んだように、耐久性のあるどっしりとした美麗な公共建造物を手にいれたのである。
一九五二年イッキーズの告別式典でトルーマン大統領の内務長官チャップマンは、黒人、日系人、インディアン、ユダヤ人など抑圧された者の味方であり、偉大な正義漢だったイッキーズに深甚の敬意を表した。 「イッキーズはいかなる人よりも長く内務長官を努め、意気消沈していた内務省を正直さと効率の別名に変え、驚くべき程度に、自らの高い倫理的道徳的原則を公務に適用した。


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